第1回 位置づけ
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1. 「学習・言語心理学」,「学習心理学」,「言語心理学」について
既存の研究領域
政治的な意思決定
学習行動領域の心理学
高次の学習・行動
言語に関する理論と研究
文法能力の発達
言語の生物学的基礎と障害
2. 「学習心理学」について
1. 「人の行動が変化する過程」
2章以下で検討する
「人の」
人以外の生物の行動についての研究も蓄積
比較研究で人間の心理学研究も進める
「変化」と一緒に本科目全体として検討していく概念
3. 「言語心理学」について
1. 「人の行動が変化する過程」と違って「人の」が含まれていない
定義から自明であるため
「人間とは言語を操る動物である」という定義を認める 人間以外の生物に見られる「言語」「記号」を操るような「行動」についての研究も蓄積されている 「言語の習得」
人間が生まれてから言語を操ることができるようになること
ここでの言語
話し言葉を操る
言語「習得」と「獲得」の表記ゆれは、研究内容自体あるいは哲学や思想と関連して使い分けられている
この講義では言語習得で統一する
「機序」
機序とは構造に対応している
4. 言語行動、言語学習について
「言語を操る」
話し言葉を操る
聞く、話す
書き言葉を操る
読む、書く
言語行動の4つのモードの区別として捉えることが可能
拙い言語行動→賢い言語行動
総じて「言語学習」と言われることになる
学習・言語心理学
「言語行動」や「言語学習」という研究領域を扱う
「言語行動」や「言語学習」の「構造」と「機能」という側面に注目することができる
言語行動や言語学習を対象として専門雑誌
1962年の創刊時
人間の学習についての実験室研究および心理言語学とその関連諸領域での仕事 laboratory studies of human learning as well as work in psycholinguistics and related disciplines
このすぐ後
実験的そして経験的研究(experimental and empirical studies)
現在の研究に明白な影響を与えうる理論的論文(theoretical papers with clear implications for current research)も受け入れると明示
「実験室研究」「実験的そして経験的研究」「理論的論文」
言語学が基盤か心理学が基盤かと捉えるのが現実的
本専門雑誌の内容と研究領域自体の性質をより適切に反映する雑誌名に変えることに編集委員会で決めた
5. 知覚・認知心理学について
同様に公認心理士資格制度への対応
学習・言語心理学と最も関連する内容を扱っている
1. 「人の感覚・知覚等の機序及びその障害」(知覚心理学に相当) 2. 「人の認知・思考などの機序及びその障害」(認知心理学に相当) 記憶以外のテーマは「言語」との関わりが深い
二つの大項目にも「人の」
人間以外の生物の感覚・知覚や認知・思考についての研究も蓄積されている
JVLVBの雑誌名の変更は「認知心理学」の台頭のため
認知科学への進展を支えた研究領域
中央処理系と記憶装置からなるシステム
認知科学の影響は教授学習過程とICTとの関係を扱う「学習科学」という領域に結実したということができる 6. 発達心理学について
「言語の習得」
言語を習得していない状態から習得した状態への「変化」
「行動の変化」と言うこともできる
一個体が受精してから死ぬまでの生涯に渡る変化
「言語の習得」についても、生涯発達の観点から研究することも可能
「人の行動が変化する過程」も同様
生物と他の生物や環境との相互作用というのが研究対象
相互作用を生物の「行動」という側面から研究
行動に限定せずに、心理学の観点から、この相互作用を研究
生物学の一領域
生物が世代を超えて形態が伝わっていく機能とそれを支える構造とが研究対象
遺伝の生物の「行動」への影響を研究
胎内の環境も含めて人間を取り囲んでいる環境の中で、経験を積み重ねることによって発達を説明することができるという立場
人間が生まれ持っている能力によって発達を説明することができ、そしてその能力は遺伝によって決定されているという立場
環境と遺伝は相互作用する
これが一般的
一般的には「ポジティブ」な含意を持っている
健常な状態から逸脱してしまうこともある
広義の「行動の変化」と言える
7. まとめ
さらに大きな観点からの隣接領域
現代の科学技術は、哲学にその源泉がある
「哲学」における諸概念の変遷を扱う「哲学史」を紐解いていくと、それぞれの科学技術の領域が哲学から独立した経緯についても理解を深めることができる
田中(2006)によると「研究のオリジナリティを出すためには」「哲学や思想に強くなる」ことをすすめている
思想的な背景を見極めて、それとは異なる哲学や思想的な背景を持って自分の研究を位置づけて見ることができる
例
先行研究が「機械論」の立場である→自分は「主体論」の立場で解釈をし直してみる 先行研究が「主体論」の立場である→自分は「相互論」の立場で解釈し直してみる 先行研究が「相互論」の立場である→自分は「主体論」の立場の復権を主張してみる
心理学史についても同様